※本稿は6日17時20分現在の原稿となることをご了承頂きたい。
2021年10月6日。
この日は緊急地震速報が1日のうちに2回出るという稀有な日となった。
緊急地震速報とは
震度が5弱以上になると気象庁が予測した際に発出される情報。
想定震源の周辺エリアでは、主にテレビ・ラジオの放送にカットインする形でアラーム音と震源の位置などが示され、強い揺れに警戒するように案内される。
この日最初の緊急地震速報は、未明午前2時46分頃だった。
岩手県沖を震源とする深さ50kmマグニチュード6.0、最大震度5強の地震であった。
この地震では緊急地震速報が発出されており、深夜にも関わらず長い揺れで目を覚ましてしまった方も多く見られた。
無理もない。この地震のマグニチュードは6.0と大きく、体感的に長い揺れを感じる人が多くなってしまったのである。
一般的に地震はマグニチュードが大きければ大きいほど地震の規模が大きく、揺れる時間も長くなる。
例えばマグニチュード7クラスになると一般的にはおよそ10秒ほどの揺れが続く事となる。
ただし、初期微動からカウントすると体感的には25秒から30秒以上の長い揺れとして体感する方も多くいらっしゃる。
続いて発生した地震は17時13分頃。
震源は大隅半島東方沖、最大震度は4、マグニチュード5.5、深さ40kmの地震であった。
※出典:Yahoo!地震情報
この緊急地震速報はレアケースと言って差し支えないだろう。
なぜなら先ほど示した通り、この地震の最終的な最大震度は4であり、本来であれば緊急地震速報の発出対象ではないからだ。
【疑問】なぜ震度4で緊急地震速報が発出されたのか?
答えは簡明である。
この地震で発出された緊急地震速報の中の一部が「この揺れは震度5弱以上になる」と判断したため、である。
もう少し詳しく解説しようと思う。
緊急地震速報はもともと、
高度利用者向け
一般向け
の2種類がある。
高度利用者向け緊急地震速報とは
高度利用者向け緊急地震速報とは、法的な位置づけでは地震動のあくまで「予報」とされている情報だ。
発表するのは気象庁及び、地震動の予報業務を許可されている一部の事業者となる。
※このあたりについてはあまりにもマニアックなので割愛させていただきたい。
実は、この高度利用者向け緊急地震速報。
第1報から始まり、長いものだと第50報以上になるものもある。
つまり気象庁や周辺の許可事業者が解析する地震の予報情報には様々なバージョンがある。
イメージ的に、第一報はあくまでも第一報なのだ。
第一報ということは、正直解像度が低い。
ある程度の震源区域と予測のマグニチュードと震度が出てくるくらいで、実際に気象庁が地震情報として正式に発表するマグニチュードや震度とはそこそこ「ずれ」があるのが一般的だ。
その解像度を上げるため、第二報、第三報と、徐々に解像度が上がる情報が出てくるのだが・・・
その中の一つが「次の情報で下方修正される可能性はあるが、この瞬間において、これは震度5弱以上の揺れとなるであろう」と解析データを返すことがある。
そうなると、気象庁としては一ミリでも可能性があるなら一般向けの地震動警報と呼ばれる緊急地震速報を自動的に発出せざるを得ないのだ。
結果的に今回は震度4でおさまったものの、高度利用者向け情報の中で一部、震度5弱以上の揺れとなる可能性があると判断されたことにより、緊急地震速報が発出されたというわけだ。
※なお、当編集部で確認した限りでは17時13分34秒に発出された高度利用者向け情報・第13報において震度5弱以上の予測が出されていた。
正確にはこれよりも前の段階の予測情報で震度5弱以上になるという情報が出ていたと考えられる。
【たぶん出てくる疑問】で、このあと大地震が来るの?
あえて言いたい。
知らんがな、と。
このように大きな地震が連続したり緊急地震速報が1日に複数回出てくると、やれ明日の朝に特殊な朝焼けがあってそれから大地震が来るだの、やれ○日の○時に地震が来るから逃げるように言われたという外資系のリーマンが出てきたりだの、いろんな話が出てくる。
中にはトンデモ理論のお説を展開する方もいらっしゃる。
もう一度言う。
知らんがな、と。
長年、相応の時間と費用をかけて専門家から話を伺い、何だったらお金を払って防災士の方に監修記事を書いてもらっているような当編集部が責任をもって断言する。
期日指定型の地震予測は基本的に当たらないと思っていただきたい。
ただし地震予測という技術分野そのものを否定するつもりは決して、ない。
事実、数ヶ月~1年程度での地震予測技術はある程度確立されてきていたり、いわゆる私立の地震予測研究所ないしは事業者も存在する。
また技術の進歩や研究の推進によって、これに近いことを成し遂げられている研究者の方もいらっしゃるからである。
もっと言うと、各人の具体的な言及は避けるものの、地震の前に体調変化を感じ、それが昔から当たるという方もいらっしゃるのだ。
ライトなところで言えば、地震あるあるで揺れる数秒前に目を覚ます。という方もいらっしゃるだろう。これも諸説あるが、似たようなものと考えられる。
ということで基本的にはピンポイントの地震予測は、2021年の技術では不可能と考えて良い。
よってトンデモ理論や噂・デマの類に心を脅かされることがないよう、防災意識を高めに持って安全に今夜をお過ごし頂きたい。
・・・なお、当編集部の編集長にして本記事を執筆している筆者はどうか、という向きもあるだろう。
筆者は今、必死こいて地震の予言ツイートを読み漁っている。どうやら、明日の朝日が赤かったr・・・
あ
べ
しッッッ・・・
・・・・
あべしッッッ
ってなるので、ウワサに振り回されないように。
※もちろん筆者は記事の通り、平常心で防災を心がけていることは念の為お伝えしておく。