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KDDI子会社ビッグローブとジー・プランで、約7年半にわたる架空取引が発覚し売上2461億円が過大計上されていたことが、2026年3月31日に公表されました。
KDDIは弁護士らで構成する不正会計問題の特別調査委員会の報告書を受理し、処分を決めた。架空取引については、ビッグローブとその子会社であるジー・プランの手掛けるネット広告事業で確認した。取引を通じて外部に流出した額は、2025年10〜12月期までに329億円に上った。2社の広告代理事業は撤退する。
引用元: KDDI傘下ビッグローブ、広告売り上げ99.7%が架空取引 社長引責辞任(日本経済新聞)
詳しい情報は以下をご覧ください。
【3/31公表】KDDIビッグローブ「売上99.7%が架空」って結局どういうこと?
循環取引って何?お金がグルグル回るだけの”見せかけ売上”だった
「循環取引」と聞いてもピンとこない方が多いと思いますので、できるだけ簡単に説明します。
通常のWeb広告ビジネスでは、広告主が「うちの商品を宣伝して」と依頼し、代理店が広告を掲載して成果に応じた手数料をもらいます。
ところが今回のケースでは、広告主そのものが存在しませんでした。
つまり、誰も広告を出していないのにお金だけが代理店の間をぐるぐる回り、その過程で「売上がありました」と帳簿に記録していたわけです。
こうして雪だるま式に膨らんだ架空の売上が、累計2461億円にのぼったということです。
SNSでも「結局何をしてたの?」という疑問の声が多いですが、ひと言でまとめると「実体のない取引でお金を回して売上があるように見せかけていた」というのが今回の不正の正体です。
この動画では循環取引の還流スキームを10万円の例でわかりやすく解説しています。
関与したのはたった2人の社員…2461億円をどうやって作ったのか
ここがまた驚きのポイントです。
この巨額の架空取引を主導していたのは、ジー・プランの元事業部長(a氏)とチームリーダー(b氏)のたった2人だけでした。
2人は代理店とのやり取りを完全に独占し、他の社員には一切関与させませんでした。
さらに巧妙だったのが、成果レポートの工作です。
広告の成果件数をわざと減少する時期も設けて、「今月はちょっと落ちました」と説明することで、リアリティを持たせていたのです。
取引先218社のうち21社との間で架空取引が行われていましたが、多くの代理店は架空取引だと認識していなかったとされています。
こういった細かい偽装工作が、7年間バレなかった一因でもあります。
329億円が外部流出、でも「私的利益のためじゃない」と主張している件
架空取引によってKDDIグループの外部に流出した資金は329億円にのぼります。
特別調査委員会の報告によると、a氏は「関係者や自らの私的利益のためではない」と述べたそうです。
しかし一部の上流代理店からは飲食代などとして現金の交付があり、その額は2023年9月から2025年12月までで約3000万円にのぼったとのことです。
架空取引の金額が雪だるま式に増えていくなかで、元社員Aは止め時を失った。特別調査委員会によれば、元社員Aは「関係者や自らの私的利益のためではない」と述べたというが、一部の上流代理店からは飲食代などとして現金の交付があり、その額は2023年9月~2025年12月までで約3000万円にのぼる。
引用元: 2400億円超の架空取引はなぜ起きた、KDDIがビッグローブらの不正実態と再発防止策を説明(ケータイ Watch)
「私的利益じゃない」と言いながら3000万円を受け取っていたという点は、なかなか説得力に欠けるところです。
知らないと損する情報なので、このあたりの経緯もしっかり確認しておきましょう。
なぜ7年間もバレなかったの?KDDIの管理体制に何があったのか
「代理店の代表は緊張するタイプだから面会できない」で通ってしまった
ここが今回の事件で一番「え、マジで?」となるポイントです。
ビッグローブの社内でも広告代理事業の急激な売上増加に疑問の声はあったそうです。
ところがa氏に確認を求めると、こんな説明で乗り切っていました。
ビジネスの場とは思えない稚拙な言い訳が、なぜか通ってしまったのです。
当時の管掌取締役も「広告のクリエイティブチェックはしている」「薬事法違反にならないようにマネジメントしている」と、的外れな説明でその場をやり過ごしていました。
取引相手の実在性すら確認していなかったわけですから、「ちゃんと管理してました」とは到底言えない状況です。
この動画では公認会計士の視点から不正の手口を専門的に解説しています。
KDDIのグループファイナンスが”ノーチェックのATM”になっていた?
もう一つの大きな問題が、KDDIのグループファイナンス(グループ内の資金貸付制度)です。
KDDIから子会社への貸付けは、設定された極度額を超えない限り子会社からの要請に応じて機械的に実行される仕組みになっていました。
つまりKDDIの潤沢な資金が、実質ノーチェックのまま不正の原資として使われていたということです。
2022年12月にビッグローブが広告代理事業の商流に参入してからは、ビッグローブの資金力と信用力が加わり、架空取引の金額は一気に膨張しました。
市場規模が全体で500億円程度とされる分野で、自社の売上だけでほぼ100%を占めるという異常事態にもかかわらず、誰も疑問を持たなかったのは不思議としか言いようがありません。
会計監査人が指摘した後も口裏合わせで逃げようとしていた
驚くべきことに、不正の疑いが出た後もa氏は隠蔽工作を続けていました。
会計監査人に指摘された後ですら口裏合わせをして逃げ切ろうとしていたというのは、相当な胆力というか、もはや引き返せなくなっていたのでしょう。
結局、入金が滞るという「お金の流れが止まる」という物理的な現象が起きて初めて露見したわけです。
周りでもかなり話題になっている事件ですので、この経緯は押さえておきたいですね。
KDDI株価やビッグローブのサービスはどうなる?
株価は一時10%急落…でもトランプ関税ショックで通信株に資金流入も
不正会計の情報が最初に出た2026年2月9日、KDDI株は一時前営業日比10%安の2512円をつけました。
2020年3月以来の日中下落率という、かなりのインパクトでした。
KDDI株は9日に反落し、一時前営業日比10%安の2512円を付けた。2020年3月以来の日中下落率。同社は6日、子会社のビッグローブなどで起きた不適切取引疑いに関して、今期(2026年3月期)売上高に約2460億円のマイナス影響があると発表していた。
引用元: KDDI株が急落、不適切取引疑いで今期売上高に2460億円のマイナス(Bloomberg / Yahoo!ニュース)
一方で、足元ではトランプ関税ショックによる市場の混乱の中、ディフェンシブ銘柄として通信株に資金が流入する動きもあります。
2026年3月期の通期業績予想は下方修正されており、最終利益は従来の7480億円から6980億円に引き下げられています。
ただし本業の通信事業や金融事業は堅調で、2025年4〜12月期の連結純利益は前年同期比5%増の5455億円と増益を維持しています。
ここまで読んだ方は、今後のKDDIの動向もチェックしておくとよいでしょう。
この動画ではKDDI株の今後と循環取引の全体像を解説しています。
BIGLOBE光やモバイルのユーザーへの影響はあるのか
BIGLOBE光やBIGLOBEモバイルを使っている方は「自分の回線は大丈夫なの?」と心配になるかもしれません。
結論から言うと、通信サービスへの影響は一切ないとKDDIは明言しています。
今回の問題はあくまで広告代理事業での不正であり、インターネット接続サービスや携帯電話サービスとは別の話です。
ただし、ビッグローブの社長は3月31日付で引責辞任しており、経営体制が変わることは事実です。
ユーザーとしては通信サービスに問題がないことを確認しつつ、今後の動きを見守る形になりそうです。
ビッグローブ・ジー・プラン社長辞任、KDDIトップは報酬返納へ
今回の不正を受けた処分は以下のとおりです。
また、KDDIは架空取引に関与した関係者への損害賠償請求訴訟を予定しており、刑事告訴も検討中ですでに警察にも相談済みとのことです。
今回の不正会計を受けて、KDDI経営陣が報酬を返納するほか、子会社のビッグローブ社長らが辞任する。取引に関与していた従業員2人は懲戒解雇した。
引用元: KDDI会長と社長、月例報酬の3割を返納-子会社の不正会計で(Bloomberg)
組織的な関与はなかったとされていますが、7年間見抜けなかった管理体制の責任は重いと言わざるを得ません。
まとめ
KDDIビッグローブの不正会計問題は、たった2人の社員による架空循環取引で売上2461億円が過大計上され、329億円が外部流出した事件です。


広告主も掲載媒体も存在しない架空の取引を繰り返し、売上の99.7%が架空だったという前代未聞の事態です。