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スズキの電動バンバン「e-VanVan」が、2025年のモーターショーで突然話題をさらった。
1971年に発売されたスズキVanVan(バンバン)は、最初のVanVan90から形や排気量などを変えながら、長きにわたり販売され続けたレジャーバイクだ。ワクワク感や遊び心を大切にしているモデルで、今回ワールド・プレミアとなる「e-VanVan」にも、その精神が受け継がれている。
引用元: 【世界初公開】懐かしの”バンバン”が電動化!原付二種相当のBEVファンバイク「スズキe-VanVan」がJMS2025に出展(ENGINE Web)
詳しい情報は以下をご覧ください。
そもそも「バンバン」って何だったのか
1971年生まれの異端児、極太タイヤのレジャーバイク
スズキのバンバンが初めて世に出たのは1971年のことだ。
当時のバイク市場といえば、スピードを追い求めるスポーツモデルか、実用一辺倒の通勤バイクかという二択が主流だった。
そんな中でバンバンは、どちらでもない「遊び」を全面に押し出した異色のバイクとして登場した。
排気量は50ccからスタートし、90cc、75ccとバリエーションを展開。
「速い・強い」ではなく「楽しい・かわいい」を訴求したバイクは当時としてはかなり珍しく、バンバンというネーミングそのものも含めて、唯一無二の個性を持っていた。
ところが1980年代に入ると、バイクブームの波はより大排気量・高性能なモデルへと移行していった。
バンバンは静かに姿を消し、約20年間、歴史の中に眠ることになる。
ドラマ1本で火がついて「オシャレな街乗りバイク」に化けた話
バンバンが突然ふたたび注目されるきっかけは、意外にもテレビドラマだった。
2000年に放映されたテレビドラマがきっかけです。ドラマの主人公が乗っていた単気筒・軽量・リアの極太タイヤのバイク、ヤマハのTW200に視聴者が釘付けになりTWは一躍大ヒット車種に。結果、70年代のフラットトラックレーサーイメージのバイクが突如流行しました。
引用元: バンバン200 買取相場・査定情報(バイクパッション)
この流れに乗じて各メーカーが一斉に動いた。
ホンダはFTR223を投入し、カワサキは250TRを発売。そしてスズキは眠っていた名前「バンバン」を引っ張り出し、2002年にバンバン200として現代に復活させた。
ポップなカラーリング、ぽってりした極太タイヤ、どこか漫画的なフォルム。
「バイクに乗ってます感」を出したくない女性ライダーや、ファッション感覚でバイクを楽しみたい層に刺さり、バンバン200は2002年から2016年まで14年間というロングセラーを達成した。
この動画でもバンバン復活の経緯を詳しく解説している。
2016年に静かに消えた理由と、中古相場が今も上がり続ける謎
14年間売れ続けたバンバン200だったが、2016年モデルを最後に生産終了となった。
理由はシンプルで、2017年に施行された平成28年排出ガス規制への対応コストに見合わなかったためだ。
トラッカーブーム自体もすでに下火になっており、スズキとしては新たな開発投資をする判断ができなかったと考えられる。
SNSでは「昔のVanVanが実家にあった」「少し前まで持ってた」という懐かしむコメントが相次いでおり、バンバンというバイクが単なる移動手段を超えた「思い出の乗り物」として記憶されていることがわかる。
電動バンバン「e-VanVan」で何が変わり、何が残ったのか
一目でEVとわかるバッテリーパック、デザインの正直さ
e-VanVanの外観で最初に目に入るのが、胸元に抱えるように搭載された大型バッテリーパックだ。
隠そうとしていない。むしろ主張している。
オフロードバイクのテイストを織り込んだ独創的なスタイリングと、ユニークなカラーやグラフィックで先進性を表現しているという点では、旧型バンバンの「どこか漫画的なフォルム」を現代語に翻訳した印象だ。
「EVになったから未来的にしました」ではなく、「EVになってもバンバンはバンバンです」というメッセージが伝わってくるデザインで、SNSで「か……可愛い」という感想が飛び交ったのは自然な反応といえる。
JMS2025の現地レポートはこちらの動画でも確認できる。
「街中でテンション上げて走る」という割り切り設計の是非
e-VanVanのコンセプトについて、スズキの担当者はこう語っている。
「街中でテンション上げて走ること」に重きを置いているという。こちらは今のところ市販化の計画はない。
引用元: スズキ、2026年度内に軽乗用BEV国内発売へ コンセプトモデル「Vision e-Sky」披露(Car Watch)
実用性やスポーティさよりも「気分」を優先するというこの割り切りは、旧型バンバンの精神をそのまま引き継いでいる。
とはいえ、スズキ社長の鈴木俊宏氏がプレスカンファレンスで自らe-VanVanに跨るというアピールをしたことからも、社内での期待値の高さはうかがえる。
旧型ファンが心配した「あれ」──空気入れはどうなった?
e-VanVanの発表後、SNSにはこんなコメントが流れた。
「空気入れ付いてこそバンバンなんやけど……」
ただし、ワイドタイヤ自体は継承されている。
「空気入れがなければバンバンではない」という声と、「タイヤの太さとかわいさが残っていればそれでいい」という声が混在しているのが現状で、これはそのままe-VanVanの市販化議論にもつながっている。
SNSでの反響がどちらに傾くかが、スズキの次の判断に影響する可能性がある。
電動バンバンを「売る気がない」のに、なぜ発表したのか
コンセプトモデル止まりの背景にあるスズキの戦略
e-VanVanは現時点で「市販化の計画はない」とスズキ自身が明言している。
では、なぜわざわざ世界初公開という大きな舞台で発表したのか。
もうひとつの見方は、ブランドの「温め直し」という目的だ。
バンバンは2016年に生産終了しており、若い世代にとっては知らないバイクになりつつある。e-VanVanを発表することで「バンバン」という名前をもう一度世の中に刷り込み、将来の市販化に向けた地盤を作る狙いがあると考えられる。
実際、発表後にSNSで「バンバン」が話題になり、旧型の中古相場まで動いたという事実は、この戦略が一定の効果を上げていることを示している。
e-Addressというリアルな市販EVとの役割分担
スズキはe-VanVanと同時期に、市販EVバイク「e-Address(eアドレス)」の存在も明らかにしている。
e-VanVanのコンポーネンツをe-Addressと共有すれば、将来的な市販化のコストを大幅に抑えられるという試算も成り立つ。
「売る気がない」というよりは、「売る準備を静かに進めながら、市場の反応を確かめている」というのが実態に近いかもしれない。
「チョイノリの次はバンバン」という期待に応えられるか
SNSで話題になった「まさかのチョイノリの次はバンバン」というコメントは、スズキファンの期待をよく表している。
チョイノリは2003年に発売された超低価格の原付で、後に電動版「e-チョイノリ」が登場した経緯がある。バンバンも同じ流れで電動化されるのでは、という期待だ。
市販化への鍵を握るのは、SNSや来場者の声だけではなく、インド市場でのe-Addressの販売動向と、日本のEVバイク市場全体の成熟度にある。
スズキが「反響次第では市販化もありえる」というニュアンスを残している以上、e-VanVanへの関心と声を届け続けることが、ファンにできる唯一のアクションかもしれない。
知らないと損する情報なので、気になる方はスズキの公式サイトもチェックしておきたい。
(スズキ公式サイトより)
まとめ
スズキ・バンバンは1971年生まれの遊びバイクが、50年以上の時を経て電動で復活した稀有な存在だ。


それなのになぜ、「スズキ バンバン」というキーワードがいま急上昇しているのか。
旧型ファンは懐かしさで検索し、バイク初心者は「かわいい電動バイク」として興味を持ち、SNSでは「か……可愛い」「チョイノリの次はバンバン」と歓喜の声が広がった。
この記事では、50年以上にわたるバンバンの歴史と、電動化で何が変わり何が残ったのかを整理する。