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NHKテヘラン支局長がイラン革命防衛隊に拘束され、悪名高いエビン刑務所に収監されたことが明らかになりました。
米政府系メディア「ラジオ自由欧州・ラジオ自由(RFE・RL)」は24日、イラン当局がNHKのテヘラン支局長を拘束し、首都テヘランのエビン刑務所に移送したと報じた。複数の情報筋の話として伝えた。
引用元: イラン当局が邦人1人拘束、NHK支局長か 刑務所に移送と海外報道(日本経済新聞)
詳しい情報は以下をご覧ください。
NHKテヘラン支局長がエビン刑務所に収監された経緯は?
1月20日に革命防衛隊が拘束→1ヶ月以上情報が伏せられていた
尾崎正直官房副長官は2月25日の記者会見で、イランの首都テヘランで現地時間1月20日に邦人1名が現地当局に拘束されたことを確認しました。
しかし、この事実が公になったのは拘束から約36日後のことです。
米政府系放送局RFE/RLが報じるまで、日本政府もNHKも一切公表していなかったという異例の展開でした。
NHK広報局は「NHKとしては常に職員の安全を第一に行動しています。現段階でお答えできることはありません」とコメントしています。
CPJ(ジャーナリスト保護委員会)が即時解放を要求したのはなぜ?
米ニューヨークに本部を置く国際NPO「ジャーナリスト保護委員会(CPJ)」が2月26日に声明を発表し、即時解放を強く求めました。
CPJは情報筋の話として、支局長は1月20日にイランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」に拘束され、今月23日にテヘラン北部のエビン刑務所に身柄を移されたと指摘。支局長の拘束後には支局スタッフが当局に複数回にわたって呼び出され、今月に入ってイランから出国した。
引用元: NHKテヘラン支局長の解放要求 精鋭部隊が拘束と国際NPO(時事通信)
CPJの地域責任者は「独立した報道を沈黙させようとするイラン当局の意図的な試みを反映している」と厳しく非難しています。
さらに、支局長の拘束だけでなく、NHKの映像スタッフのパスポートやカメラ、ノートパソコンまで没収されたと報じられており、組織的な報道弾圧の様相を呈しています。
この動画では報道ステーションが伝えたエビン刑務所の実態とNHK支局長拘束の背景を解説。
【異常事態】イラン反政府デモ弾圧でジャーナリスト12人が拘束されている
今回のNHK支局長拘束は、単独の事件ではありません。
イランでは2025年12月末から経済悪化への不満を背景に大規模な反政府デモが全土に広がりました。
FNNイスタンブール支局の加藤崇支局長も「反政府デモを取材したり、反政府デモの映像を持っているだけで拘束されている状況がある」と伝えており、現地の報道環境がいかに危険な状態にあるかがわかります。
こうした情報を知っておくことは、世界で何が起きているかを正しく理解するために大切なことですね。
【元収容者の証言】エビン刑務所が”悪名高い”と言われる理由
英イラン二重国籍アシューリ氏「トコジラミ・ゴキブリ・ネズミ…24時間の尋問」
エビン刑務所に実際に収容された経験を持つ人物が、ANNの取材に応じて過酷な環境を語っています。
イランとイギリスの二重国籍を持つアシューリさんは2017年、身に覚えのないスパイ罪でイラン当局に拘束され、エビン刑務所に5年間収容されました。
「多くの無実の人々が収容されていました。非常に劣悪な環境でトコジラミやゴキブリ、ネズミがいました。私や一緒にいた仲間はこれに気がめいりました」
引用元: NHKテヘラン支局長拘束か 元収容者「劣悪な環境」経験語る(khb東日本放送)
尋問は24時間にも及んだといいます。
身に覚えのない罪で拘束され、家族への脅迫まで受ける。
5年間という途方もない時間をこの環境で過ごしたアシューリさんは、NHK支局長の拘束について「政権は様々な圧力にさらされ追い詰められた状態にあるので、非常に心配しています」と述べています。
【544日間の恐怖】ワシントンポスト元支局長レザイアン氏「スパイに仕立て上げられた」
エビン刑務所に外国人ジャーナリストが収監されるのは、今回が初めてではありません。
2014年には、ワシントンポストの元テヘラン支局長ジェイソン・レザイアン氏がスパイ行為などの罪で拘束され、エビン刑務所に収監されました。
レザイアン氏は2019年のインタビューで当時をこう振り返っています。
「私はアメリカの政府のスパイに仕立て上げられた」。
さらに「『残りの人生を刑務所で過ごすことになる』とか、『まもなく釈放』とも言われましたが実現しませんでした」とも語り、精神的な揺さぶりが繰り返し行われていたことがわかります。
レザイアン氏は「イランは、人質を交渉材料に使うことで知られています」とも述べており、NHK支局長の今後を考える上でも見逃せない証言です。
この動画では須田慎一郎氏がNHK支局長拘束の背景とイランの現状を解説。
ノーベル平和賞ナルゲス・モハンマディ氏が告発した”白い拷問”の全貌
エビン刑務所の闇を最も深く世界に伝えたのが、2023年にノーベル平和賞を受賞したイランの人権活動家ナルゲス・モハンマディ氏です。
モハンマディ氏は「社会体制を脅かすプロパガンダ」を理由に禁錮16年を宣告され、エビン刑務所に収監されました。
獄中での体験をまとめた著書『白い拷問』は世界16か国で出版され、大きな衝撃を与えています。
モハンマディ氏自身も独房で「自然光や外気が不足している厳しい環境、そして抑圧と不安のなかで、心も体もかなり病んでしまった」と語っています。
著書には13人の女性受刑者へのインタビューも収録されており、「歯が折れて化膿しても医務室に連れて行ってもらえなかった」「性的に侮辱された」「独房は缶詰のようなもので、中から開けることは絶対に不可能」といった壮絶な証言が並んでいます。
こうした実態がノーベル平和賞受賞者の口から語られているという事実は、多くの人に知っておいてほしい情報ですね。
エビン刑務所の歴史と「人質外交」の闇…NHK支局長の解放はいつ?
【半世紀の闇】1971年建設→革命後も政治犯収容が続いている
エビン刑務所は1971年、パフラヴィー朝のシャー(国王)時代に建設されました。
当時から政治犯の収容施設として使われており、半世紀以上にわたって”恐怖の監獄”であり続けています。
1979年のイスラム革命後も政治犯の収容は続き、2009年のアフマディネジャド大統領再選をめぐる抗議デモでは、逮捕された多くのデモ参加者がエビン刑務所に送られました。
その後、虐待の報告を受けて監視カメラが設置されましたが、2021年にはハッカー集団がその監視カメラ映像を流出させ、看守が囚人を殴る様子や劣悪な収容環境が世界中に拡散されています。
2022年に大規模火災・2025年にはイスラエル空爆…それでも”稼働し続ける”刑務所
エビン刑務所は近年、立て続けに大きな事件に見舞われています。
火災でも空爆でも施設が完全に破壊されることはなく、エビン刑務所は今もなお政治犯やジャーナリストを収容し続けています。
中東調査会によると、NHK支局長が収容されているとされる第7区は「外国人や政治犯の収容に用いられている」区画であり、2022年の火災が発生したのもこの付近でした。
この動画ではNHK支局長の拘束と容疑不明のまま進む事態の最新動向を紹介。
「人質を交渉材料に使う」イランの前例から見る解放の見通し
NHK支局長の解放がいつになるのか、現時点では全くわかっていません。
ただし、イランにはこれまで外国人を拘束し、交渉材料として利用してきた前例が複数あります。
報道ステーションの大越健介キャスターは「拘束した民間人を交渉材料に使ってきたとされるこれまでのイランのやり方はアメリカからの圧力などでかつてないほど窮地に陥っている現状を考えた時、決して楽観できない」と指摘しています。
中東調査会は「これまでに日本人が人質交換の目的で拘束されたことはないと思われる」としつつも、「何らかの交換条件が要求される可能性もゼロではない」と分析しています。
外務省によれば、現時点で本人と連絡が取れる状態で健康状態に問題はないとのことです。
一刻も早い解放を願うとともに、このニュースの続報にはしっかり注目しておきたいですね。
まとめ
NHKテヘラン支局長がイラン革命防衛隊に拘束され、悪名高いエビン刑務所に収監されたという衝撃のニュース。
エビン刑務所がなぜ「悪名高い」のか。
元収容者の証言から浮かび上がるのは、トコジラミやネズミがはびこる劣悪な環境、24時間に及ぶ尋問、家族への脅迫、そして昼夜の感覚を奪う「白い拷問」という非人道的な実態です。

