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パナマ運河の港湾を約30年にわたって運営してきた中国系(香港)企業が、パナマ最高裁の「違憲」判決によって排除される方向に動いています。
中米パナマの最高裁判所は、海上輸送の要衝・パナマ運河の港湾を香港系の企業が運営するのは違憲だとする判断を下しました。
引用元: パナマ最高裁 “運河の香港系企業運営は違憲” 中国は反発(NHK)
詳しい情報は以下をご覧ください。
パナマ運河の港湾権利に違憲判決!その衝撃の中身とは
そもそも中国系企業がなぜ港を握っていたのか
パナマ運河の両端に位置するバルボア港(太平洋側)とクリストバル港(大西洋側)は、1997年から香港の大手コングロマリット「CKハチソン・ホールディングス」の傘下企業が運営してきました。
1999年にアメリカがパナマ運河の管理権をパナマに返還した後、パナマ政府はCKハチソンに港湾の運営を委託しました。
2021年には契約が25年間延長されており、長期にわたって中国系企業が運河の「入口」を押さえ続ける構図が出来上がっていたのです。
この状況に強い危機感を抱いたのが、アメリカのトランプ大統領でした。
パナマ最高裁「違憲」判決の背景にあるもの
2026年1月29日、パナマ最高裁判所はCKハチソン傘下企業との港湾運営契約を「違憲」と判断しました。
判決などによると、無効と認定されたのは、香港の長江和記実業(CKハチソン・ホールディングス)傘下会社が運河の両側で2港湾を運営する契約。契約は2021年に更新されたが、パナマ会計検査院が昨年7月、検査院の承認など法的手続きを順守していないとして提訴した。
引用元: パナマ最高裁、運河の港契約無効 香港企業運営、米が問題視(時事通信)
表向きの理由は「契約手続きの不備」ですが、背景にはトランプ大統領の強い圧力があったとの見方が広がっています。
この判決は即時効力を持ち、控訴もできません。
約30年にわたる中国側の港湾支配が、一夜にして崩れたと言っても過言ではないでしょう。
中国排除後の港はどうなっている?
判決を受け、パナマのムリノ大統領は即座に暫定措置を発表しました。
新たな事業者が決まるまでの間、デンマークの海運大手マースク傘下の「APMターミナルズ・パナマ」が両港を管理するとのことです。
港の運営自体に大きな混乱は生じていないものの、水面下では激しい法的・外交的なバトルが続いている状況です。
ここまで読んだ方は「でも、なぜ港の運営権ごときでこんな大騒ぎになるの?」と思ったかもしれません。
その答えが、次のセクションで解説する「チョークポイント(要衝)」にあります。
この動画ではパナマ運河の違憲判決と米中対立の構図を解説。
なぜ港湾権利を奪い合うのか?チョークポイント(要衝)を握る者が経済と安全保障を制する
そもそもチョークポイント(要衝)とは何か
チョークポイント(choke point)とは、地政学の用語で「船の航路が一点に集中する海上交通の要衝」を意味します。
「choke(喉を詰まらせる)」+「point(場所)」が語源で、ここを押さえれば相手の海上輸送を「詰まらせる」ことができるという考え方です。
パナマ運河は年間約14,000隻の船舶が通過し、世界貿易の約5%がこの水路を経由しています。
たとえばニューヨークから東京までの航海距離は、パナマ運河を通れば約9,700マイルですが、南米南端の喜望峰を回ると約15,000マイルにもなります。
航海距離を約35%も短縮できるこの水路を、誰がコントロールするかは死活問題というわけです。
パナマ運河の港湾権利があると何ができるのか
「運河を通る権利」と「運河の入口にある港を運営する権利」は似ているようで大きく違います。
つまり、どの国がどんな物資をどれだけ運んでいるかが丸見えになります。
これは経済情報としても軍事情報としても極めて価値が高いのです。
知らないと損する情報ですので、覚えておいて損はないでしょう。
米中がパナマ運河を手放したくない理由は?
米中がパナマ運河に執着する理由は、それぞれの国家戦略に直結しています。
アメリカは19世紀の「モンロー・ドクトリン(米州は米国の勢力圏)」の現代版として、中南米からの中国排除を進めています。
一方の中国は「一帯一路」でグローバルに物流網を構築したい。
パナマ運河はこの2つの巨大戦略がぶつかる、まさに最前線なのです。
この動画ではパナマ運河で中国企業が「追放」された経緯とアメリカのシナリオを解説。
日本にも影響あり?パナマ運河の港湾権利の今後を読む
中国の報復措置で何が起きているのか
違憲判決を受けた中国の反応は迅速かつ強硬でした。
中国は、パナマ政府が香港系コングロマリット、CKハチソンが持つパナマ運河近郊の港湾の運営権を取り消したことへの報復として、中国の国有企業に対し、パナマでの新規事業計画を停止するよう指示した。
引用元: 中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風(Newsweek)
この報復措置により、数十億ドル規模の投資が影響を受ける可能性があると報じられています。
SNSでも話題になっているので、今後の展開は要チェックです。
日本のLNG輸送ルートにも影響がある理由
「パナマ運河の問題なんて日本に関係ないのでは?」と思うかもしれませんが、実は大いに関係があります。
日本は米国メキシコ湾岸からのLNG(液化天然ガス)をパナマ運河経由で輸入しています。
パナマ運河を使えば輸送日数を40%以上短縮できます。
もしパナマ運河の通行に混乱が生じれば、日本のエネルギー調達コストが上昇する可能性があるのです。
周りでも話題になり始めているテーマなので、ビジネスパーソンとして押さえておきたいポイントです。
港湾権利の次の持ち主は誰になるのか
現時点で注目されている動きは大きく2つあります。
パナマのムリノ大統領は5日、「パナマは地球上のどの国にも脅かされることはない」と述べ、港の運営権を単一の国に委ねない方針を示唆した。
引用元: パナマ運河から香港企業を排除 米中対立の板挟み1年、小国パナマの模範解答(日本経済新聞)
パナマ政府は欧米系企業を優先する可能性が高いとみられていますが、中国の報復を考えると一筋縄ではいきません。
この港湾権利の行方が、今後の世界物流の勢力図を大きく左右することは間違いないでしょう。
ここまで読んだなら、今後のニュースでパナマ運河が出てきたときに「あの話か」と理解できるはずです。
この動画では中国が500億ドル規模の巨大運河建設でパナマ運河に対抗する動きを解説。
まとめ
パナマ運河の港湾権利を巡る米中争奪戦は、2026年に入って一気に動きました。
パナマ最高裁の違憲判決で中国系企業CKハチソンが排除される方向となり、暫定管理はデンマーク・マースク傘下へ。
中国は報復措置を発動し、CKハチソンは国際仲裁で反撃に出ています。


その入口にあたる港湾の運営権を誰が握るかは、経済・軍事・外交のすべてに影響する超重要テーマとして、いま世界中が注目しています。