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三陸沖地震のマグニチュードが6.9に修正され、北海道・三陸沖後発地震注意情報の発表基準まであと0.1という僅差で見送られたというニュースが話題になっています。
気象庁は、午後5時3分に発生した三陸沖を震源とするマグニチュード6.7の地震について、詳しく調べた結果、これをM6.9に更新した。震源の深さについては10kmから16kmとした。今後も1週間程度は、最大震度4程度の地震に注意が必要だと説明した。
引用元: 気象庁が三陸沖地震のマグニチュードを6.9に修正「後続の地震でM7.0を超える場合は、北海道・三陸沖後発地震注意情報を発表する形になる」(ABEMA TIMES)
今回の地震で活躍した最新技術と、後発地震注意情報について詳しく見ていきましょう。
三陸沖地震、M6.9に修正で後発地震注意情報は僅差で見送り
マグニチュードを6.7から6.9に更新
気象庁は、11月9日17時3分頃に発生した三陸沖の地震について、初報ではM6.7としていましたが、詳細な解析の結果M6.9に修正しました。
震源の深さも当初の10kmから16kmに変更されています。
気象庁は今後も1週間程度、最大震度4程度の地震に注意が必要と呼びかけています。
北海道・三陸沖後発地震注意情報とは?
北海道・三陸沖後発地震注意情報は、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の想定震源域やその周辺でMw7.0以上の地震が発生した場合に発表される情報です。
この情報は2022年12月16日に運用が開始されました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表基準 | 北海道の根室沖から東北地方の三陸沖でMw7.0以上の地震が発生した場合 |
| 発表タイミング | 地震発生から15分~2時間程度でマグニチュードを精査後 |
| 注意期間 | 地震発生から1週間程度 |
| 発表方法 | 内閣府・気象庁合同記者会見 |
日本海溝・千島海溝沿いの領域で規模の大きな地震が発生すると、その地震の影響を受けて新たな大規模地震が発生する可能性が相対的に高まると考えられています(先に発生した地震を先発地震、これ以降に引き続いて発生する地震を後発地震と呼びます。)。 このため、北海道の根室沖から東北地方の三陸沖の巨大地震の想定震源域及び想定震源域に影響を与える外側のエリアでMw7.0以上の地震が発生した場合に、「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表します。
引用元: 北海道・三陸沖後発地震注意情報(気象庁)
この情報は後発地震の発生時期や場所・規模を確度高く予測するものではなく、あくまで可能性が相対的に高まっていることをお知らせするものです。
0.1ポイント差で発表見送りの理由
今回の地震では、M6.9という規模は発表基準のM7.0に対して僅か0.1ポイント不足していました。
つまり、今後1週間程度の間にM7.0以上の地震が発生すれば、その時点で後発地震注意情報が発表される可能性があるということです。
今回活躍したS-net(海底地震津波観測網)とは?
今回の地震では、日本海溝海底地震津波観測網(S-net)が迅速な地震検知に大きく貢献しました。
S-netの概要と150カ所の観測点
S-net(Seafloor Observation Network for Earthquakes and Tsunamis along the Japan Trench)は、房総半島沖から根室沖の太平洋に150カ所の観測点を設置した大規模な海底観測網です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 観測点数 | 150カ所 |
| ケーブル総延長 | 約5,500km |
| 観測範囲 | 房総半島沖~根室沖(日本海溝~千島海溝海域) |
| 最大水深 | 6,000m超 |
| 観測装置 | 地震計+水圧計(津波計) |
| 運用開始 | 2016年度より順次(2017年4月全海域運用開始) |
地震計と水圧計が一体となった観測装置を海底ケーブルで接続し、これを日本海溝から千島海溝海域に至る東日本太平洋沖に設置し、リアルタイムに24時間連続で観測データを取得します。観測装置は150カ所に設置し、ケーブル全長は約5,500kmになります。 海溝型地震や直後の津波を直接的に検知し、迅速かつ確実な情報伝達により被害の軽減や避難行動などの防災対策に貢献することが期待されます。
引用元: 日本海溝海底地震津波観測網:S-net(防災科学技術研究所)
東日本大震災を教訓に整備された理由
S-netの整備は、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の教訓から計画されました。
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の際に、陸域に展開する地震観測網の観測記録に基づく津波規模予測の精度に限界があることが浮き彫りとなったため、S-netの整備が計画された。
引用元: 日本海溝海底地震津波観測網(Wikipedia)
緊急地震速報が最大30秒早く可能に
S-netの最大の成果は、緊急地震速報をこれまでより最大30秒程度早く発表できるようになったことです。
気象庁によるS-netデータの活用状況は、2019年6月から緊急地震速報への活用が開始され、2020年3月には設置された150点全てのデータが観測に活用されています。
さらに、S-netで得られた情報はJR東海・東海道新幹線やJR東日本・東北新幹線の運転指令所へ即時転送され、必要に応じて新幹線を緊急停止させるために活用されています。

PLUM法による緊急地震速報(EEW)とは?
今回の地震では、PLUM法(プラム法)による緊急地震速報も発表されました。
従来法との違いとPLUM法の仕組み
PLUM法(Propagation of Local Undamped Motion = 波面伝播非減衰震度)は、震源や地震の規模を推定せず、地震計で観測された揺れの強さから直接震度を予測する手法です。
| 項目 | 従来法 | PLUM法 |
|---|---|---|
| 予測方法 | 震源・マグニチュードから各地の震度を予測 | 周辺の観測点で観測された揺れから直接震度を予測 |
| 得意な地震 | 震源域が狭い通常の地震 | 震源域が広い巨大地震 |
| 猶予時間 | 比較的長い | 短い |
| 精度 | 通常の地震で高精度 | 巨大地震で高精度 |
PLUM法では、震源や地震の規模の推定は行わず、予測したい地点の周辺の地震計で観測された揺れの情報(震度に相当する値)から直接その地点の震度を求めます。 これは「予測地点の付近の地震計で大きな揺れが観測されたら、その予測地点も同じように大きく揺れる」という考えに従った予測です。
引用元: 緊急地震速報の精度向上に向けた気象庁の取組について(地震本部)
東日本大震災で関東の揺れを予測できなかった教訓
PLUM法開発のきっかけとなったのは、2011年の東日本大震災で震源から遠く離れた関東地方の強い揺れを精度良く予測できなかったという課題でした。
「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」が発生した際、震源から遠く離れた関東地方でも強い揺れを観測しましたが、従来手法ではこの強い揺れを精度良く予想することができませんでした。
引用元: 緊急地震速報 – PLUM法について(気象庁)
2018年から運用開始のハイブリッド方式
現在の緊急地震速報では、従来の手法とPLUM法の両手法での予測震度を比較(ハイブリッド)して、どちらか大きい方の予測を基に発表しています。
2025年11月9日17時3分頃に発生した三陸沖の地震では、実際の震源位置による地震では従来方式にて最大予測震度4の予報が発表されていたものの、PLUM法によって岩手県沿岸北部を震源と推定する警報が発表された。
引用元: PLUM法(Wikipedia)
よくある質問(FAQ)
S-netとDONETの違いは?
Q: S-netとDONETは何が違うの?
A: どちらも海底地震津波観測網ですが、観測エリアが異なります。
| 観測網 | 正式名称 | 観測エリア |
|---|---|---|
| S-net | 日本海溝海底地震津波観測網 | 房総半島沖~根室沖(日本海溝~千島海溝海域) |
| DONET | 地震・津波観測監視システム | 紀伊半島沖~四国沖(南海トラフ海域) |
| N-net | 南海トラフ海底地震津波観測網 | 日向灘~室戸岬沖(南海トラフ海域西側) |
PLUM法で緊急地震速報の精度はどれくらい上がった?
Q: PLUM法導入で緊急地震速報の精度はどれくらい向上したの?
A: 巨大地震での予測精度が大幅に向上しました。
ただし、PLUM法にも特徴があります。
後発地震注意情報が出たらどうすればいい?
Q: 北海道・三陸沖後発地震注意情報が発表されたら、具体的に何をすればいいの?
A: 社会経済活動を継続しつつ、日頃からの備えを再確認し、すぐに避難できる態勢を準備します。
| 対象 | とるべき行動 |
|---|---|
| 個人・家庭 |
・非常時持出品を就寝時でもすぐ持ち出せる場所に準備 ・家具の固定状況を再確認 ・避難場所・避難経路を再確認 ・家族との連絡手段を確認 |
| 企業・組織 |
・安全な避難場所・避難経路を再確認 ・従業員や顧客の避難誘導ルールを再確認 ・備蓄品の場所と在庫を再確認 ・緊急参集体制や指揮命令系統を再確認 |
情報が発表されたら、地震発生から1週間程度、社会経済活動を継続しつつ、日頃からの地震への備えの再確認をすることに加え、揺れを感じたり、津波警報等が発表されたりしたら、すぐに避難できる態勢を準備しましょう。
引用元: 北海道・三陸沖後発地震注意情報(気象庁)
まとめ
11月9日に発生した三陸沖地震では、マグニチュードが6.9に修正され、後発地震注意情報の発表基準まで0.1ポイント届かず見送られましたが、この地震を通じて最新の地震観測・予測技術の有効性が実証されました。
S-netやPLUM法といった最新技術が、私たちの安全を守るために24時間体制で稼働しています。
こういう技術の進歩、定期的にチェックしておくと防災意識が高まりますよね。
今回の地震では幸いにも大きな被害は報告されていませんが、引き続き1週間程度は同程度の地震に注意が必要です。


この地震では海底地震津波観測網S-netと新しい緊急地震速報技術PLUM法が活躍し、迅速な情報発信が可能になりました。
一方で、M7.0以上で発表される北海道・三陸沖後発地震注意情報については、基準値に0.1ポイント届かず見送られる形となりました。